この廃墟みたいな町を何とかするのは次世代ゲームなんだ飛べANA | 「ぎんなん並木」と読む東大生日記。

この廃墟みたいな町を何とかするのは次世代ゲームなんだ飛べANA

都市をつくるゲームがある。
どこに線路を作るか、
どこに道路を作るか。

それで人口が増えたり町が栄えたりする。
そういう、


人間心理をからめた生活空間を設計する作業は、
考えることが好きな人間にとっては最も知的に楽しい
遊びのひとつだと思う。

まあゲーム全般に興味なかったけど自分。

「興味ないんじゃん…」
「スーパーマリオの段階で才能ないって見切ったから自分」
「スーパーマリオで!?」
「うんANAの機内でやってみたんだけどさ、
 日本からニューヨークにつくまでの間で私のマリオは
 2面までしか進んでなかった。」

なんであんなに小さいガケの上に降りられんの?

というのが、
「ニューヨークに着くまでに最も口にした日本語だった。」

「へえ」
「ああニューヨークだ、日本語ともここでお別れか、
 ゲームオーバーだ、
 アウチッもう英語はじまってんじゃん、みたいな」

※エコノミーでは太平洋の上空で気が狂うという
 都市伝説がございます

「でもマリオはさておき、」
「あっちのゲームは今やってみたいんだよね」

町作るゲーム?
うーん単なる町っていうか、もっと人心をさ。


人心?

「簡単に言えば、」

「敗戦処理するゲームとかならやってみたい!!」

これほど爽やかにいうのが難しい台詞もなかなか。


というわけで、

ニューヨーク-成田 までの間で
スーパーマリオ 2面 の
ゆな がやってみたいと切に希望する

敗戦処理ゲーム 

タイトル
『インベーダーゲーム… ~セカンドシーズン~』

とりあえず設定は 町が 敗戦後であること。
町とか道路 とかはこれから作るってことで。

「なんで敗戦後じゃないとダメなの?」
「まーこれは極端な話でそう言ったけどさー」

「べつに敗戦後じゃなくてもいいんだけどさ、
 ただ戦後まもない時期って、
 結構独特の文化がうまれてきたわけじゃん」
「二世ぶるとか、コーラ飲んでボーリング、とか」
「なんかそういうソフト面もつくれたら楽しいかな、って」

「だからこの際道路とかどうでもいい。」

じゃ何すんの!?
そーだなーまず、

「マッカーサーをオーディションするの。」
※不埒な意味で最重要プロジェクトに選びました
「それってさ、」

べつに統治する為でもないでしょ?
うん誰でもいい正直
ただ、

「カリスマ性があるスターをオーディションで選びたい。」

マッカーサーオーディション

※募集要項※

・ヘビースモーカーだ
・15で不良と呼ばれた
・女は買うもんじゃない、奪うもんだ。
・そしてナイフを持って立ってた
・マッカーサーで十分だ
・凶弾に倒れたってかまわない
・その場合は妻に愛していると伝えてくれ

誰でも最初は未経験!!
あこがれのサムライの国を統治するお仕事!!
分からないことがあったらルース・ベネディクトに訊いてね♪

「それでシンガーも同時募集するの。」
「シンガー?」

うん国民的歌手までは考えないけど、
文化発祥のさきがけの水分として、
口ずさめば気分が晴れるようなメロディが欲しい。

「誰でも口ずさめるような、童謡みたいな流行歌。」

りんごのうた  椎名林檎

私の名前をお知りになりたいのでしょう
でも今思いだせなくて悲しいのです
働く私に名づけてください
お呼びになってどうぞお好きなように

「まずい椎名林檎は終戦後にはキツイ」
「無理だと思う」
「自分の名前が思い出せない、とか、
 終戦後の国民意識が揺らいでる時期には…」

「はっ」

アイデンティディ  椎名林檎

どこに行けばいいんですか
だれが真実なんですか
お金が欲しいのですか
あたしはだれなんですか
君を信じていいんですか
愛してくれるんですか
あたしはだれなんですか

「妙にリアルだ。」
「重いよ!!重すぎるよ!!」
「なんか流行歌っていうよりさ、」

「当時よく言われていた日本語トップ10みたい。」
※なんか作る側の人格にこの時点で問題を感じました

「あと必要なのは、」


「コピーライターかなあ。」

「コピーライター?」


うんマッカーサーが自分で言えればいいんだけどさ、
なかなか上手い事言える奴じゃなかったら
やっぱりプロが必要だと思うから。

老兵は死なず ただ 去るのみ。


「ああそういうコピーを書くひとってことね」

「うんこういうさ、

ソフト面に働きかけるゲームでは基本なんじゃないかと思うけど」

※敗戦処理ゲームなんてあんまりするひといないと思います


適任だと思うひとが一人。
糸井さんとか? ううん、

「赤川次郎。」
※赤川氏は三毛猫ホームズシリーズなどの小説家です

「赤川次郎は絶妙にコピーライターだと思う。」
「なんか、」
「あの分かりやすい言葉を大量生産している雰囲気が」
※怒られそうですが割と賛同されるので書いてしまいます

「コピーライターとかって普通にさ、」「うん」
「糸井重里じゃダメなの?」「いやこの場合、」

「糸井さんじゃないほうがいい気がする。」※一生に言うかどうかの贅沢な日本語です
「だって敗戦直後だもん、」

「日本語も焦土状態っていうか、感覚がそこまで繊細になってなくて、」
「わかんないと思うんだよ多分、」

A:このへんないきものは まだ日本にいるのです。たぶん。

B:ミス・吸血鬼に幸いあれ

「明らかだと思うんだけど、」
「敗戦直後の人心という白いピンに投げる鉄球としたら、」

断然、下品な方がいい。

「だって実際、」
「生麦のひととか悩んじゃうよ多分、へんないきものってなんだい、みたいな」
「生麦敗戦直後なの!?」
「あ」
「まあ、」
「敗戦直後でもないけど、」

「何らかの戦争に負けた後のような活気のなさだけは、幕末から健在。」
「よく分からないよその日本語」

幕末から治安の回復しない町生麦、
べつに、
観光スポットなんかがあるわけじゃなく、
オシャレなカフェがあるわけでもなく、
中学生がマジックで卑猥語を書くぐにゃぐにゃしたアスレチックのある
地区センターで子どものえりあしは依然としてオシャレ、
そんな町だけれども、ひとつだけ珍しい物がある。

敗戦直後の日本から活気を引いた町並み

言わば、

廃墟ブームの最先端「人が住んでる廃墟」

という、
現代日本でレアな光景が見たい方は是非、

京急線「生麦」で下車して下さい。
ただ夜中になった場合はくれぐれも、猛ヤンキーにご注意を。