いま、オノヨーコを観に行ってきます 追憶の武道館オープニング篇 | 「ぎんなん並木」と読む東大生日記。

いま、オノヨーコを観に行ってきます 追憶の武道館オープニング篇

しかし、地味なものには悲しみがつきものだ。
「地味な物は悲しんでるから地味なのだ」とも言ってしまいたい。

いきなり何の話なのかと不審に思われるだろうがここ数年、

イエローモンキーファンは地味な吉井さんがちょっと悲しかった。


「そうじゃない」と言うひと、
いるだろうから吐かせてみたっていいが、結局一枚の感情を折りまげた
折鶴みたいな理由しか出てこない。不自然な感じがどうにも認めがたい

とにかくグラムに端を発したロックスターである以上、
そのビジュアル自体、精神性に通じているアート作品である。


彼の音楽を聴いて否定されたのでなくても、
「地味なおじさんだね」
と一般人に言われることは、グラム的ファンには非常に悲しかった。

ロックスターの肉体というアート作品が、地味という評価を受ける、
それって彼の精神性、
アーティストとしての表現力がパワーダウンしてるって事だろうか?

しかしかなしみの肉体を捨てきらないままに
「永遠てむなしいもんさ…」
と語る衝撃のデビュー曲TALIでデビューを飾ったヨシイロビンソンこと
吉井さん。

グラムロックファンの方へ、朗報である。

あのヘンテコな色気が大復活していたのだ。
あれなら誰もが信じることが出来るでしょう、2005年が、

「太陽が燃えている」の10年後であるという、事実を。

いま、オノヨーコを観にいってきます
『ジョンレノンスーパーライブ2005』

オノ・ヨーコ   
忌野清志郎
奥田民生
押葉真吾
小泉今日子
小柳ゆき
杉真理
曽我部恵一
PUFFY
BONNIE PINK
宮本亜門
YOSHII LOVINSON
LOVE PSYCHEDELICO
ほか順次発表予定
(五十音順)


さて場所も場所であり、武道館である。
ジョンレノンの魂を継ぐ、というコンセプトからすれば、
このビートルズ来日公演が行われた場所というのは熱い。


この日集まったビートルズファンの中には、
あるいは往年の来日公演のときを思い出して涙ぐまれる方も
いるかもしれない、
と妄想をふくらませてアリーナ席へ。
果たして吉井さんファンのひとはどれくらい来てるのだろうか。

前の席に「CALL ME 」のロゴ入りTシャツの女の子。

俺でよけりゃ 必要としてくれ
電話一本で いつでも呼んでくれ
「何年過ぎてもおなじさーーー」が、
どうにもジョンを慕ってひとが集まる形容だけに思われない。


なんだか知らないけれど、イエモンファンも相当の集まりであるらしく、
改めて失ったバンドへの情熱というものについて考えさせられる。

失ったものへの情熱がいちばん大きいのかもしれない。特に失った人間。

「世間の内心を覗いてみれば、
 未亡人という人種ほど、鼻息荒くして生きている者はないかもしれない。」

「解散したバンドのファンて熱いなあ」
という程度の意味でここでは思ったことだったのだが、ライブ後半に至り、

オノヨーコのパフォーマンスで激しく喚起されたことなんかは割愛しておく。
そしてオープニングへ。

目を閉じて 想像してみてください
来日公演が行われた武道館、
アリーナ席がステージになり、
熱狂するビートルズファンは立ち上がる事を禁止されたほどでした
ただステージに向かい、4人の名前を呼ぶことしか出来なかったのです

こういう時健康器具とか買わされる地域の住民は
本当に目を閉じて想像をめぐらしてしまう。

サギの9割は目を閉じていいことを想像している時に起きるから、
皆、気をつけようね!京浜急行ユーザーの皆!

「あ出てきた」

って田舎者が目を閉じている間に、
ステージではオープニングでアーティストが集まっていた。
先ほどのサギ事件もいいところだ。
誰だよ目を閉じろって言った奴(多分キョンキョン)。芸能人を見逃すだろうが。

そしてひときわ大きな黄色い歓声があがる。
目の前で踊る「CALL ME」の赤いロゴ。

「すわ」
と、
妹の机から無断拝借してきた対ジャイアンツ戦東京ドーム仕様
「ジャビット君オペラグラス」を取り出してステージを見る。
アリーナBブロックからだと世間が魚眼レンズの向こうみたいだったが、

「あっ」

虹色マントで現れた日本が誇るグラムロックスター

KIYOSHIRO のマントのすそ に飛びついた。
「ええい、」

ジャビット君オペラグラスはこれ以降、出番を失った。
やはりこのオペラグラスはドームで桑田のぶつぶつを数えるのに
使うべきもので、野鳥の会にでも所属してなきゃ日常使わない無用の長物だ。
10日現在まだ返してないが、「カイジの単行本を買ってくれ」と言われて以来、
彼女と口を利くのが面倒くさくて仕方がない。
だがこれは余談。

KIYOSHIROはさすがにスターの風格があった。
ラーメンを食わせろ~
ラーメンを食わせろ~

ぐらいしか彼の歌声は記憶にないのだが、ああスターだ、という
一瞥はもぎとられた。
そんなに悔しそうに見なくてもいいとは思うが、本命が違うのだ。

そしてサングラスにジーパン?で登場した背の高い男が一人、
「ちょっとカッコイイ!!」

すわ80年代少女漫画、みたいな登場シーンになってしまったが、
(地元の耳鼻科いくといまだにこういう漫画がある)
アリーナBブロックはこの時たしかに、黄色い歓声につつまれた。
お前らジャガーが出ると思ったら大間違いだぞ ま想像に難くないけど

ヨシイロビンソンである。
虹色マントの後ろではさすがに地味だったが、
マッカーサーのようなグラマラスなサングラスにジーパン姿。

「すわジーパン刑事」
不憫な小娘はこういうとき、お里が知れるというべきか、

不憫な語彙がすぐに出てきてしまうものだ。ふと思ったけど、

平成っていう時代自体昭和からみれば不憫といわれる存在の

ような気もする。以下余談だが、
「この娘と喋ってるとヤラレルわよ~」
と、初対面の方が隣の席の方に警句を発せられるような小娘だ。
不憫といえば不憫、そういう宴会に同席してしまわれた方々。

ジーパン刑事はさておき、
オープニングのあとはそれぞれのアーティストのソロパートに。
「さいたまだと思ってたんですけどね~」
という、
民生のゆるいトークに会場から歓声が飛び交っていた。
このゆるいトークで会場が盛り上がるのが民生マジックだ。


この独特の空気感をあえて形容するなら、
「ジャージ感。」
それは日本文化なのか、
ジャージを一緒に着てるだけでひとはなんとなく盛り上がる。

「ヘンシン!」とモビルスーツになるようなヒーローは他人だが、
民生は近所のおっさんなので一緒にジャージを着てる雰囲気だ。

「今日あついよね」
と民生がいっただけでも、誰かがゲップしたように盛り上がると思う。
いやあすごいロックスターだ、何かの深海魚に似てるのに思い出せない。

そしてその民生にデビュー当時、

「お前らは鵜飼いの 鵜だ」
「飲まずに 全部吐き出せ」

そういわれていたという女の子、

パフィーの二人。

タトゥーみたいな黒いネクタイが印象的だった。
タトゥーみたいに集合の時にすぐ出てこないのが印象的だった。
「パフィーのお二人です!!」
宮本亜門がヘンなテンションで苦笑しながら2回よんで、
やっと出てきた。しかし急ぐ様子もないので、やっぱあれだ、

プロデューサーの指示なんだろうかそのゆるさ。

そしてトップバッターはいい忘れたがボニーピンクだった。
あんまり好きではないので「ボニー!!」と呼ぶ気もせず。
ていうか正しくは何ていうのだろう。
まああんまり好きじゃないとそんなに関心もわかない、

んが、

正直べつに好きでもなかったのにファンになってしまった、

小柳ゆき。

それまでのアーティストは持ち歌にしてる感じはあったけど、
チャリティーライブ独特のただずまいがあった。

それはコンセプトの前に独自カラーをあまり出すべきじゃない、
という考えがあるのかないのか知らないけれど、

小柳ゆきは、彼女の武道館ライブに見えた。
圧倒的な歌唱力とはこのことだとおもった。
それだけでパフォーマンスに近い歌声といっしょに、
金髪のウェービーヘアが揺れて小さなライオンのようだ。
「小柳ゆき 歌うめえな~」
語彙の貧困層は意識を一単語が征服しやすいものだが、
このときはまさに歌うめえなという王朝が栄えていたと思う。

しかしここまできてかなりのアーティストが出たのだが、
依然として彼は登場しない。
歓声の多さで明らかにイエローモンキーブロックと判明した
アリーナBブロック、

イエローモンキーファンの間では「ヒーセ側」と言われたポジション、
(すげえだって今回ヒーセ出てやしないというのにヒーセ側扱い)

この時点でどうなっているかというと、

次のマイクスタンドが高い、というだけでどよめく焦燥っぷり。

いい加減早く出てきてほしいっTALI

そこでステージ左から走り出てきたひとつのジーパンの影。
「すわ、」

ラブサイケデリコのクミじゃない方 に飛びついた。

「ええいクミじゃない方なんか前説だ」
という、

非常に辛らつな言葉を浴びせてしまいそうになったが、
(リアルにラブサイケデリコの音楽はファンでございます)

実際に彼らのパフォーマンスを見てすっかり撤回する気になった。


ていうか、

デリコのクミじゃない方のファンになりそうになった。

次回、

・クミじゃない方とクミは恋愛感情なのか
・そんなことよりシンガーソンガーは恋愛感情なのか
・ジーパン刑事はサングラスを外すのか
・カイジの単行本を買って帰るべきかどうか

ヨシイロビンソン登場篇。
そしてそれだけでなく本当に思わぬハプニング連続だったので
さっさと次回が書きたくて仕方がない。地味に期待してください。