いま、オノヨーコを観に行って来ます ロックと女は切り離せない篇 | 「ぎんなん並木」と読む東大生日記。

いま、オノヨーコを観に行って来ます ロックと女は切り離せない篇

これまでのあらすじを語る。


「明日オノヨーコを観に行って来るよ」
「へえもういつ観られるか分からないものね」
「そうだよ滅多にないことだよ」


「だってもう70?70 超えてたらもうねえ、人間
「えええそういう意味かよ!!母人間好きじゃないだろ」

ロックの聖地、武道館。
目を閉じてみてください
そして想像してみてください

なんだか肩こりが解消されたなあばあさん
ておい、

芸能人を見逃すだろうが

ラーメンを食わせろ~
ラーメンを食わせろ~

「カイジの単行本買ってきてよ」
こいつと話をするのがめんどうくせえ

ねえ 次のマイクスタンド高くない?
「ジーパン刑事!!」
すわ、

デリコのクミじゃない方に 飛びついた
「ええいクミじゃない方なんか前説だ」

ところが、

「クミじゃない方、」
「ちょっとだけファンになったぜ。」

少なくとも、

微妙に良質なコラムを連発する千原ジュニア

の 次

くらいに好きになったぜ。世間様、微妙ですまない。

ジーパン刑事みたいな格好で出てきたのは
デリコのクミじゃない方とクミだった。

クミはめちゃくちゃ小さかった。150センチ位じゃないか。
小さいのにハスキーボイスでクールな女性シンガーって
なんだか知らないけれど典型的なのは誰のせいだろう。

とにかく、
英語の発音もそれっぽかったし、
雰囲気もなんだか他の日本人とは違う感じだった。

「サンキュー、ジョン、ヨーコ」
っていう、

なんだか知らないけれどすごいフランクな挨拶で
「え ええの?主催者なのにええの?外人だから?」
とか、

「2年坊の調教ぐらい自分でしろや」みたいな漫画ばかり
おいてある場末のラーメン屋に育った子としては
随分
カルチャーショックを感じてしまった。

まあクミもヨーコもアメリカ人ぽいからOK猥談もしないのだ。

それでクミが歌い始めた。
クミが歌うと小柳ゆきとは違う意味で、
観客がその歌声に聞きほれてしまう。
「クミ歌ううめえなあ~」

またも啓蒙専制君主による絶対王政の始まりである。
ところが、

「入ってこい!!」
と、
クミじゃないほうが煽っても、全く煽られない観客。
ただクールに、
外国のライブハウスで日本のバンドをみてる客みたいに
「ふーんいいんじゃないの」みたいな傍観のままなのだ。

クミの表情がちょっとこわばった。

いきなりさっと冷めた瞬間があって、
彼女の視線の先で何かが墜落したみたいだった。

あれ??と思った何人かが後方を振り返った程だった。

そこで必死に、
スティーブンタイラーとジョーペリーのようなワンマイクで
クミのテンションを励ましつつ歌い、カモン!と客を煽る、

クミじゃない方。
「シンガーソンガーは恋愛感情なのかなー。」
「いや、どうだろう」「Cocco女の子っぽいですよね最近!!」
「でも、」
「ラブサイケデリコは恋愛感情であって欲しい気がするなあ」

欲しい気がする。
欲しい気がするんだ本当、

あそこで小さなクミを支えるようにして必死に頑張っていた
クミじゃない方。

いや、
嫌がらせで言ってるんじゃないんださっきから>クミじゃない方。
だってラブサイケデリコは確かにクミがスターなんだけど、

そのとき彼女の客は彼女の墜落した星を追って眼をそらした

クミの歌声をささえていた青年、
彼がクミを支えようとする精神の張りが、
クミの歌声を芸術の海ではなくて世の空に浮かばせる
表面張力になっているような気がした。

ラブサイケデリコはクミじゃない方がいてこそ世に立ってるんじゃないか。

そして余談だが、
このときクミじゃない方がジーパン刑事みたいだったことで、
多くの吉井さんファンが「すわ!」と立ち上がってたらしい。

「なんだクミじゃないほうか」
多くの吉井さんファンは吉井しか眼中になくてがっかりしたかも
しかし、

私は結構、ファンになったよそれこそ、
「千原君、クミを助けて。」
千原ジュニアの次くらいには好きになったよ、彼を。

そしてついに、
その瞬間は訪れたのである。

ヨシイロビンソン登場。

ギャーーーー

アリーナBブロックが黄色い歓声に包まれる。
やっぱりステージ向かって左という位置で
「ヒーセ側。」
という声が聞こえたときから思ってたけど、

このブロック完全にイエローモンキーブロックだ。

「ヨシイロビンソンという変な名前ですが」
「もう辞めます」

ギャーー(←もう何でもいい雰囲気)

「そして明日は…」

ギャーーー----
おめでとーーーーーーーー(←分かってる)

ワーワー ワー

「えっと39歳の誕生日なんですけど…」
「いやそんな黄色い歓声貰う歳じゃないんで…」

ワーワー ワーワー


アピッてるくせに
それも、
前回のジョンレノンライブに出た時も自分でアピッてたくせに、

ていうか
ジョンレノンの誕生日10/9差し置いて俄然
自分の誕生日10/8をアピールするってアンタ、

「新年ふでおろしもいいところだ」
「2日早産なんてあんまりだお母様」

「ジョンレノン君、君もだ。」
ロックスターっぽくていいとおもいます。
※OK、猥談をしようか。

『Starting Over』
『I'm Losing You』
『Woman』

すごくよかった。意外なほど英語の発音が。
たまにボーナストラックで英語バージョンの
LOVELOVESHOW
BULB(球根)

があったのだが、

スメルオブヘアーータッチョブヘアーー
という、
微妙きわまりない発音がヘビーボーナスだったのだが、
今回はさすがに大きなステージで猛練習でもされたのか、

英語の発音もよく、歌もすごくうまくなってた気がする。


ブリッジでも言ってたが、ロックは人前に出ないと駄目なんだろう。

「これが生還したシンガーです」とツアー中に言ってたが、

正確にはそのツアーをすすむ中で息を吹き返したんだと思う。
ロックスターの肉体というのは観客の身体も含んでいるのかも。

なお余談だが、
『I'm Losing You』は吉井さんが歌うとイエモンぽい雰囲気で、
休止間もないステージとして2001年のジョンレノンライブでも
歌っていたという事で当時のライブを観たのだが、

『I'm Losing You』
正直、表現とはべつの次元で鬼気迫っていた。
この辺は私のジーパン刑事な語彙で表現するのは辛く、
たとえて言うならば、
ブリッジで渋谷陽一が吉井さんが成功した後の回顧談とかで
「あのときのアレは何だったの?」
って訊くような雰囲気があったのだ。全国で4人は分かったと思う。

そして特筆すべきは、
あの独特の色気が大復活していたことである。

「オトコのすっぴんに泣かされる」という、
人生で稀有な経験を吉井によって背負わされたキャリア女性の皆さんに

朗報、
微妙にメークもしてて髪も伸びていた。太陽が燃えている」10年後だ。刑事っぽい。
そして太陽にほえる前に言い忘れてたが、この時の格好はジーパン刑事ではない。

ピンクのシャツに黒いジャケット。
それを、

歌いながら前のボタンをはずす。
ギャーーーーーーー(本当に絶叫)

ジャニみたいなアクションで黄色い歓声を取れる、
40歳近い男。

「いい人生とは、女性を幸せにすること。」

―吉井さんの初期の歌詞は、女性の1人称が多いようですが?
「それはたぶん、僕が女性にひどいことしてたから。
 彼女たちが自分の口を借りて歌ってる気がする。」

「とジョンが言ってたんですが。」

借金もあったし水商売だけじゃそんなに金にもならず、
じゃ女の子に頼るしかなかった訳で、

「『僕は女性なしじゃ生きていけない』という事で、」

―じゃ女に完全に食わせて貰いつつも捨てつつ、と言う?
「捨てつつ(笑)」

「同じぐらいの年でこういう曲を作ったジョンは本当に凄いと」
「『woman』」

あーーーーー
ロックスターと女の関係って本当にすさまじいものがある。

「ミュージシャンになってなかったらどうしてたと思いますか」
「女に殺されてた。」

と答えるボーカリストがいて
「ロックと女は切り離せないものだから。」
と言うエマニュエル夫人から名前をつけたギタリストがいて

彼女のアートの階段をのぼって、吊り下げられた天井に
虫眼鏡で答えを見つけたんだ

YES

そこに見つけたのは希望だった

と語る少年のようなジョンレノンがいて
「ビートルズでは林檎の名前のリンゴさんしか知らなかった。」

と語る不思議少女オノヨーコがいる。

彼女のことが好きなのは赤いタンバリンを上手に撃つから

ロックスターの恋愛が何年過ぎても8000人を集めるパワーが
あるのは凄まじいと思った。

「凄かったですねえ」
「ていうか凄い素敵なお店」
「いまごろ渋谷に流れてる人多いんだろうなあ」
「あ」
「うしろ」

「渋谷陽一だ。」 
次回、

まさかの急展開 
・渋谷陽一に遭遇したのはどういう事か
・深夜23時にゴルゴンゾーラってどうなのか
・果たして終電には間に合うのか

次回、「終電を逃しました」篇。地味にご期待ください。